ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第五章 希望 /ヘリ

牧村の後について、美雪たちが屋上へ出ると東側の隅に巨大な軍用ヘリコプターが待機していた。

十人ぐらいは楽に乗れそうなほどの大きさだ。厚い装甲に守られ、闇にとけ込みそうな黒っぽい機体は、いかにも戦闘用らしい威圧感を放っている。
 
屋上ドアをしっかりと閉じて(工具でドアをこじ開けた跡が残っている)、歩き始めた牧村を先頭に、次に美雪たち、最後尾に東がついた。
 
ヘリは西方向を向いて着陸していたので、屋上の西のはしに出た美雪たちと隊員二人は、運転席を真っ正面に見て歩く形になった。

「もう心配ないよ。機内には、戦闘のプロが何人も控えているから」

牧村は歩きながら美雪たちにやさしい口調で話しかけた。

だが、誰も答えない、牧村はかまわず先を続けた。

「他の連中と一緒に君たちはヘリで待機していてくれ、我々は校内を偵察の任務があるんだ」

「いつになったら戻れるんですか?」

慶太がたずねた。

「すべての任務が完了してからだ」  
 
これでおしまいだ。

長い悪夢から逃れ、ヘリで安全な場所に帰るのだ。

美雪たちはほっと安心したような気持ちもあったが、その一方で暗く重苦しい気分が増してくるのだった。

あまりに多くの犠牲と悲しみ、脱出の時にあっても彼らの心は少しも晴れなかった。

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