ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第一章 予兆 /兄弟とねこ


少し落ち着きを取り戻した武田は、アナログ式の腕時計を見た。

9時33分。

予定より、大分遅れている。先に行った他のクラスのバスに連絡を入れておかなければ。

そう考え、武田はズボンのポケットを探り、連絡用に学校から支給された携帯電話を探した。

ない!

クソッ、行ってしまったバスの中か。

「……よし、お前ら、俺は教頭のところに、電話して事情を説明してくるから、ここにじっとしてるんだぞ。ふたりも体育館はもう行かなくていいから。あと、とくに伊達はここから動かないようにな! すぐ戻って来るからな」

武田はいつものでかい声で怒鳴ると、校舎の方に走って行った。玄関ロビーには備え付けの公衆電話があったはずだ。

「先生、怒ってたじゃないのさ」

武田の背を見送りながら、うさ子は美雪に不満そうにぷっと頬をふくらまして見せる。

「それよりうさ子ッ! あんなことしていいと思ってるの? かわいいいたずらじゃ済まないんだからね」

「な、なんのこと? うさ子、知らない」

二人の間に沈黙がしばらく流れた。
 
伊達は面倒そうに近くの植え込みのブロックに腰掛けている。

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