ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第二章 急変 /足の鉛


「子供が食べたいぃぃ!」

背後から迫るその声に金太は縮み上った。

金太はゾンビの大群から追われ一人走っていた。

武田が時間を稼いでくれたおかげで、ゾンビとのある程度の距離は保っていた。

しかし、急な坂道に金太の息は絶え絶えになり始めていた。胸はズキズキと痛むような拍動に締め付けられ、足は鉛入りの靴を履いているように重く感じた。

金太はもっとマラソンの練習もしとけば良かったと後悔していた。

短距離の足の速さは校内でも常にトップクラスだった金太だが、マラソンはいつも最下位の方にいた。それは金太のマラソン嫌いによるやる気のなさが原因だった。ゆっくりペースを守って走るマラソンは、落ち着きのない彼の性格に合わなかった。

背後から聞こえ続けるうめき声は、少しずつその距離を縮めているようだった。疲れを知らないかのように追ってくるゾンビたちに対して金太は精神的にも追いつめられて来ていた。

なんなんだ?

なんで、おれは馬鹿みたいにこんなきつい坂を走り続けているんだ?

さっき先生から逃げて走ったばっかりだってのに。

そういえば、こんな夢を見たことがあるような……。

得体の知れない何かに追われて逃げる夢……。

どこかでおれを呼ぶような声がしている…。たぶん、バアちゃんが、おれを起こしに来たんだろう。でも、もうちょっと眠りたいな……。

あまりの肉体の酷使と恐怖に金太の思考は徐々に鈍くなりはじめていた。
 
やがて金太はゆっくりと目を閉じ、足取りは乱れ、いまにもアスファルトの上に突っ伏すだろう状態になった。

  • しおりをはさむ
  • 10
  • 0
/ 164ページ
このページを編集する