ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第二章 急変 /門

山神小学校の校門はごく一般的な鉄製の柵状門だ。柵は二本のレールの上を走り門を閉じる仕組みになっている。

肝心の重量は体力派の武田先生が思い切り力を込めて押せばどうにか閉まるぐらいの重量だから、彼ら小学生にとってはなかなかのものだろう。

金太はその重そうな門をみるなり、

「無理だよ! こんな門ぐらい、すぐにあいつらは、突破しちまうよッ、それに先生だって、もう……」

とおびえた声でわめき始めた。

「うるさい! うるさい! だったらあんた一人で逃げればいいじゃない」

うさ子はそうやって怒鳴ることによって恐怖を吹き飛ばそうとしてるようだった。

「勝手にしろよッ、俺は行くからな、慶も来い!」

「……ごめんね、お兄ちゃん」

慶太はそう言うと兄に背を見せ門に取りついた。まるでそれが合図だったように他のみなも次々に門に手をかけた。その様子に金太はなにも行動出来ずにただ立ちつくしている。

「時間がない。……押すぜ、せーの!」
 
伊達の号令で金太をのぞく全員が力を合わせ門を押した。徐々に動き出す鉄の門、しかし砂や小石が噛んでなかなか思うようにいかない。
 
突っ立っている金太が門の向こうに目をやると、ゾンビたちは予想以上に接近していた。確実に彼らを目指して、坂を駆け上がって来続けている。

今ではゾンビのひとりひとりの顔立ちさえもはっきりとわかるほどだ。

きっとあと数十秒で奴らはここにやって来る!

狂気をはらんだ迫り来る形相に、金太はたまりかねたように、わあああっと悲鳴を上げた。そして腰を抜かしたようにその場に座り込んだ。

「お願い! 手伝って! 金太くん、間に合わなくなる」

美雪のその言葉も聞こえないのか、金太はうずくまり、ただ何かに憑かれたようにやって来るゾンビを凝視していた。

そしていきなり後ろを振り返り、腰をあげると、まるっきり脱兎の如く校舎の方へ向かって逃げ出した。

「金太君……」
 
美雪は悲しそうにつぶやいた。

「あんな奴ほっとけっ! 俺らだけでも押せるはずだ!」

伊達の怒声に、みなは無言で門を押しはじめた。

0
  • しおりをはさむ
  • 10
  • 0
/ 164ページ
このページを編集する