ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第一章 予兆 /校長室

武田が校舎の裏口(正面玄関は施錠されているため)に一足先に到着して、靴を脱いでいると、すぐに春樹と吉光も追いついて来た。

目の前にそびえる校舎は東西に伸びる長方形の建物で、三階建て、正面中央に玄関口、裏手に東西二カ所の出入り口という、いたってシンプルな造りの校舎だ。これとは別に古めかしい校舎が南にひとつあるため、区別して新校舎と呼ばれることもある。
 
武田は靴を脱ぎ、普段はシューズを履いてから入る校舎に、靴下のままで上がり込んだ。春樹と吉光もそれに倣い靴下で後に続く。

校舎内はシンと静まり返っていた。

人の気配は全くなく、照明も落としてあり、外のあかりだけなので薄暗い。窓の外を見ると黒い雲が一面に立ちこめ、今にも降り出しそうだった。

武田は遠足の行く末を案じていた。

生徒たちはみんな、口ではめんどくさいだの何だと言っていたが本当は楽しみにしてたはずだ。

特に金太は遠足だ遠足だと一番騒いでいたのに……。

よっぽど変な物でも食ったんだろうか?

「先生、どうします?」

武田の背後からニコニコと愛想良く春樹は言った。

「ああ。そうだな」

武田はチラリと腕時計を見てから、

「お前らもいるし、念のため俺はひとっ走り三階の教室を見てくる、だから奥のトイレは頼むな」

この階のトイレは廊下の奥、職員室の隣にある。そこをふたりに託し、武田は三階にある六年三組の教室に向かうことにした。

教室で忘れ物を必死に探している可能性もあるかもしれない、そう考えていた。

「あ、リイ先生」

さっそく階段に向かおうとする武田を吉光が呼び止めた。

「ん? なんだ、吉光」

「ぼく、今日の朝、誰かが裏門の階段のとこにいるのを見たよ。もしかしたら金太くんじゃないかなあ」

教室で朝礼を終えて校庭に出ようとしているとき、窓の外にちらりと見たのだった。

「裏門に?」

「なにいい加減なこと言ってるんだよ、吉光。裏門は階段が急で危ないからって開かないようにしてあるはずだろ」 

春樹がすかさず横やりを入れた。

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