ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第四章 計画 /玄関ホール

美雪たちはほとんど無言で玄関ホールにドアを塞ぐための机や椅子をどんどん積み重ねていった。

その机の量は彼らの恐怖の度合いに比例していた。玄関ホールはたちまち蟻の入る隙間のないほどに机が敷き詰められた。

そしてそれが終わると今度は松林の提案で西口のドアを塞ぎに行った。西口にも玄関口ほどではないが、ゾンビが数体いた。

ようやく二カ所のドアを塞ぎ終え、玄関ホールに戻った彼らは、その頑強なバリケードを前に、ようやく少し安堵し、その場に座り込んだ。

「これだけやれば絶対入って来れないでしょ」
 
うさ子は床に足を伸ばしながら満足そうに言った。

「でも、油断はずっと禁物です。あの沢木溶子という女性の力は未知数ですから」

慶太はメガネを取り、額の汗をハンカチで丁寧に拭いながら言った。

「え、他のゾンビと同じじゃないの?」

「ええ、見ませんでしたか? 兄を襲ったときのあのスピード、他のゾンビの比じゃない」

「それにあの人喋ったわ、はっきりと」

美雪が付け加えた。

「おそらくパワーもかなりあると思いますね、──伊達さんは何か気づきませんでした?」

背を柱に預けてひとり立っている伊達を体育座りしている慶太が仰ぎ見る。

「別に。ただ他のゾンビは思ったほどパワーはなさそうだ。人間よりは足は遅いし、動きも鈍い、パワーも人間並みだろう。さっきも囲まれなきゃ何とかなりそうだった」

「あれはナイスだったよね。ゾンビにされた人には悪いけど、やれ、やれーって思っちゃった」
 
うさ子はニヤニヤ笑いを浮かべながら言った。

「もうっ! やめてって言ったでしょ」

美雪はうさ子をキッとにらんだ。

「ごめんごめん」
 
うさ子はあわてて謝っている。

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