ゾンビ学園~ぼくらの小学校にゾンビが攻めてきた~

第四章 計画 /携帯電話

用務員室に入った慶太と松林は携帯電話を探していた。

「あれ、この辺に置いといたんだが」
 
部屋の中をうろうろと探しながら、危機感のないのんびりした声で松林は言った。

「最後に使ったのはいつです?」

慶太も室内を探しながら尋ねた。

「いつだったかな、……おお、そう言えば今日はまだ使ってなかったから、鞄の中だ」

「なんだあ、もう」
 
慶太は思わず甘えるような口調で言ってしまった。

慶太の両親(金太の両親でもあるが)は忙しく、幼い頃からよく祖父母に面倒見てもらっていたので、松林ぐらいの年齢の人には慣れていて親しみがあった。

「これだ、これだ」
 
松林は角のすり切れた古めかしい鞄から携帯電話を取り出し、慶太に手渡した。 

「松林さんがかけてよ。ぼくだといたずらかと思われちゃうもの」

その携帯電話を松林に押し返し、打ち解けたような笑みを見せ慶太は言った。

「そうか、そうか、だけど番号はきみが押してくれんか。わしは老眼でよく目が見えんから」 

「うん」
 
さて、ちゃんとつながるだろうか。電話を手にして慶太はちょっと不安だった。

新校舎の玄関ホールにあった電話機は全くつながらなかった。

携帯電話の方が固定電話よりも非常時の回線混雑時にはつながりやすいと言うし、おそらく大丈夫だとは思うが……。
 
慶太はひとつひとつ丁寧に番号を押した。

1,1,0と。

そして発信ボタン。
 
空白の数秒。
 
慶太は緊張した。
もし携帯電話もだめなら、もうここから逃げ出すための打つ手がない。

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