bittersweet【完】

第二部 /━contort━




「…、」



ぼんやりとした月の下を何も言わずに歩く私と中野さん。


さっきのキスの余韻も風に浚われてしまいそうな冷たさだ。



たまにチラリと私を振り返り、付いてきているか確認するだけ。

それにドキリといちいち反応してしまうもんだから気疲れしてきた。



と。
コンビニの前で中野さんが歩みを止めた。



『入って良い?』

「どーぞ。」


自動ドアをくぐって夜には明るすぎるコンビニへ入る。


私も遅れて足を踏み入れれば店員の高い声が耳に届いた。



中野さんは真っ直ぐ煙草のほうへ向かったのでそれを追う。



『これ2個。』


店員が愛想よく微笑む。私は何となく横のおでんを見ていた。



『おでん買う?』

「いや…、別に大丈夫です。」

『何かあったら一緒に買うけど。』



その言葉にぐるりと店内を見渡して私は目についたそれを手に取る。



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