bittersweet【完】

最終部 /━bittersweet━




「……。」



寒い、息苦しい。酸素を取り込むことがこんなに難しいのだと、思ってもいなかった。


頭を揺らす鈍痛にゆらり、寝返りをうって小さな反抗をするが。冷たいシーツに体を晒すばかりで意味もなかった。



明かりのない、深夜。時計はうるさいくらい秒針の働きを主張してきて。私はそれに行き場のない投げやりな感情の端をぶつける。



また、寝返り。


「…。」


いい加減起きていることにも疲れた私は起き上がった。でも体のだるさは抜けず、ぱたんとベッドへUターンだ。



枕の下に手を入れれば、ベッドとは明らかに違う固い冷たさが指先をかすめる。それに恐々と近づき、取り出す。



「………、」



中野さんからのプレゼント。小さな束縛の印であるピンキーリングを隠れるように暗闇で小指にはめた。



「…似合わない。」



そんな感想が夜の深みに沈んで、溶けた。




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