崩れかけのプロポーズ【完】

36つめ /君だけで満たされるから




『じゃあ、行ってくるね。』



靴を履き終えた水樹くんが、無表情で私を振り返った。私はそれに何度か頷いてみせる。


と。
ふ、と笑った水樹くんがさらりと私の頭を撫でた。



『良い子にしててね。』

「、」



私の赤くなる頬もくすぐるように撫でると、颯爽と背を向け、水樹くんはドアの向こうへ消えた。



「良い子………、」



そう復唱し、私はごめんなさいと心中で呟いた。


別に毎日良い子にしているわけではないけど、今日は、ちょっとだけ悪いことをしようと計画している。



「(ばれたら…。)」



ただじゃ済まされない確率、100%。




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