崩れかけのプロポーズ【完】

42つめ /もう少し待たせるけど




「…え?」



私はお茶をいれる手を止め、勢い良く水樹くんを振り返った。その拍子に急須からお茶がこぼれて、私は直ぐに視線をそれに持っていかれる。



「うわ、お茶…!」

『ちょっと落ち着いて。』

「そ、そうなんですけど…。」


わたわたとしながら雑巾を持ってきた私はお茶を拭き取った。そして手を洗い、お茶をいれ(ついでに自分の分も)、水樹くんの向かい側に腰掛けた。



「お茶です。」

『うん、ありがとう。』



若干冷めたお茶をちらり、見た水樹くん。「ごめんなさい」と言えば、何も言わなかったが、水樹くんはふわりと微笑んでくれた。


それに私もへらりと思わず笑ってしまった。が、直ぐに先程の会話を思い出してハっとする。



「さっきの話、もう一回…!」



水樹くんは私が作った煮物を咀嚼し「…味が濃い」と呟いてからお茶を飲んだ。そして私を見て、だから、と続け。




『矢内が病院やめるんだ。』


そう言った水樹くんはさといもを食べてまた「味濃いよこれ」と言った。ごめん、醤油入れすぎたんだ。


「(…じゃなくて。)」



矢内さんが…、やめる?




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