崩れかけのプロポーズ【完】

11つめ /大事にしたいから




『菜々。』

「…。」


知らない。水樹くんなんてハゲちらかしてしまえば良い。ずるむけてしまえ!



そう殺気だった気持ちを胸に、水樹くんの呼び掛けを無視する。本当はあとが怖いけど、いや、私は怒ってるんだ。



事の発端は、昨日の夕食のこと。


午後から出勤の水樹くんは、水色のシャツを着ながら私に言った。



『今日は遅くなるから一緒に食べれないけど。』

「あ、はい。ちゃんと食べます。」

『写真送って、分かった?』

「………、」



か、過保護だ。私が頷くと水樹くんは小さくよし、と言って出掛けた。

ぽつん、と。1人水樹くんの家に取り残された私。なんで水樹くんの家にいるのかは、よく分からないけど。



取り敢えず。雑誌を読んだりして、そのあと夕飯を作り、きっちりかっちり写真におさめて水樹くんに送信した。



「…、幼稚園児みたい私。」



スプーンをくわえながら、水樹くんからの扱いに溜め息をはいた。



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