29回目の夏

三章 結末はまだ別の話で /嵐の前の静けさ、は何処?

ーーーーーーーーーーーーーーー騒がしい朝。


「おっはようございまぁー……す?
あれ、黒くん、早く出勤?」

「おはよう、夕方寝て夜中に起きてやる事無くて。」

「へぇ…センパイは?」

「給湯室。」


こいつ機嫌悪い。


絶対なんかあったな、と思うくらいには、塩対応。
てことはセンパイも機嫌悪いな!?と、声を掛けに行くのを躊躇ったが。


気を使ってよそよそしくするのもおかしいから、と気合いを入れて給湯室に向かう流星。


「おっはようございまぁーす!
センパイ珍しいね、仕事してない!」

「はいおはよう、一段落したんだよ、土曜日のおかげでちょっと少ない。」


ん、なんか変。
そう思ったけど口にはせずに。


「そっか!俺も頑張ったしなぁー。」

「あんたは自分の仕事だって残ってたじゃない。
けどありがとうね、助かったよ。」


やっぱり変!


ありがとう?だって?


「……センパイ、なんかあったの?
なんか変だよ、優しい。」

「はぁ?喧嘩売ってんの?」

「タバコだって吸ってないんだから出ておいでよ。」

「ふぅ…そうだね、コーヒー淹れてくれる?」


そう言って微笑んだ夏美の顔はやっぱり少し変で。


「ん、淹れるから。
なんか無理してる、そんな顔でだったら笑わなくていいから眉間にシワ寄せてて?
誰も気にしないから、作らなくていいよ?」


何を根拠に。
嘘の笑顔を貼り付けて、そして誰かに気を使っているかなんて。


こいつは言うんだと、不思議に思う夏美だけれど。


「生意気。」


そう言い残して、声を掛けに来た流星を残して自分の席へ。

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