君の猫になりたい

美しく綺麗なネコ /再会





「嫌なら、モデルやめて僕と結婚する?」

突然後ろから息がかかって




あたしは驚いて肩がびくりと上がった


待機用の簡素なテントに入ってきたのは、

あたしのマネージャー兼社長の透。




相変わらず気配のない人だ



あたしは彼の手を振り払って

また深くため息をつく



「それはもっと嫌」



「残念」

口は笑っているけれど、

目にはなんの感情も浮かんでいない



眼鏡の奥の目はどこまでも冷たく見えるのは

二年前出会ったときから変わらない




「ほんとはそんなこと

思ってないでしょ?」



睨んで見せると



「僕の本気、示してあげようか?」

と、あたしの頬に触れる


あたしはまた、その手を払った




あたしたちの関係は、つまり



タレントのあたしと、マネージャーの透

雇い主の透と、労働者のあたし

家の主人のあたしと、居候の透



家に帰れば、そこにも透がいて、

あたしたちの上下関係は逆転する







「そろそろ、始めるって。」

透が頬付けをついて、あたしの胸の谷間をガン見している

「いい眺め」





「このくそ変態」




あたしは、もう一度ため息をついて言う


「ねー、マネージャー。


あたし、今どこにいるのかな?」





「ハワイだけど、」



それは知ってる

わざわざあたしの初めての写真集を撮るために


有名なカメラマンと一緒に


こんな南の島まで来たってことは。




「なんであたし、

こんなことしてんだろう?」



透はあたしの言いたいことが分かったらしい


「そんなにその水着恥ずかしい?」


「だって、布の面積が小さすぎて・・・」




今度は透が呆れたように首をふった

「今さら何言ってるんだか。

ほら、いくよ?」






あたしは、ポツリと呟く

「だってこんな格好、怒られそうなんだもん・・・」

透に聞こえないように、小さく呟いた











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