桜龍Ⅰ【完】

第一章 /プロローグ




あの日、闇の中であたしは荒れ狂った白い虎を見つけた。




夥しい程の血が広がるその中心で、荒々しいオーラを纏い佇む孤独な虎を────…。












虎にゆっくりと近付いていく。





“お前、目が死んでる”




あたしがそう言うと、虎は顔を上げた。



掴んでいた人の胸ぐらを乱暴に離して、黙ったままじっとあたしを見つめる。





あたしは視線を血まみれになって倒れている男達に向けた。





“ただの反抗期か?それにしちゃあ派手だな”




余りの悲惨な姿に、思わずふっと笑う。








“……なんだてめえ”





虎はまるで獲物を見るかのように冷たく鋭い眼をあたしに向け、低い声を発した。






0
  • しおりをはさむ
  • 9613
  • 8728
/ 403ページ
このページを編集する