桜龍Ⅴ

第十章 /たったひとりの、




「お前さぁ……」

「なに?」


校内でばったりと会った要は、あーとか、うーとか呻きながら落ち着きがなかった。あたしと要の姿に気付いて近寄って来た俊も、あたしを見るなり、元々大きい目を更に大きくさせて、距離を測りながらちらちらと様子を窺うような素振りを見せる。


「絋、なんか、えっと」


「どうしたの、俊」


「近づいてもいい、ですか」


「なんで敬語?というかいつも聞いたりしないじゃん」


「いや、だってそれ……、なんか別人みたいで」


気になっているのは、やっぱりこの制服か。確かに今日は凄い顔で他の生徒の皆も見てきたけど。おかげでなのか、絡まれることは一切なかった。


「あー……。いい生地使ってるの分かる?高そうな服って、ちょっとためらうよね。制服だから、丈夫だとは思うんだけど」



違うそうじゃない、と俊は首を震わせた。恐る恐る袖口を確かめるように触れる仕草を黙って見る。好きにさせていたら、俊はぱっと顔を上げた。


「これ、前の学校の?」


「うん。前のやつ」


「なんか絋、お嬢?みたい」


「ぶっ」



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