桜龍Ⅴ

第十章 /ジニアの花




その日、あたしは要を溜まり場に強引に連れて行った。要は最初から不機嫌で、溜まり場にいた下っ端くん達を怯えさせている。空気がぴりぴりじゃなく、もうぱりっぱりだ。いつ亀裂が入っても可笑しくない。


何かしでかさないかとこっちがハラハラするくらいで、要の一歩後ろから見守っていた。



部屋の中には皆がもう既に揃っていて、要が定位置のソファに座る。仁達も、要とちゃんと話をするのは久しぶりらしい。と、いっても、要は話をする気がないのか、目線を合わせずに適当な相槌を打つだけだった。


「要、なにかあった?」


由樹がやんわりと最近のことについて聞いても、ひと睨みして無言を返すという、悪態。これは流石に酷い。それでも由樹は、怒ったりせずに苦く笑う。



「……要、いい加減にしろ」


「あ?」


「聞こえなかったのか?」


「……チッ」


仁にも舌打ちをして、ふんぞり返ったまま足を組み替える。


「理由なんかねえよ。ただ苛々してるだけだ」


「だからカルシウムとればって言ってるじゃん」


「お前は黙ってろ」



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