いつかの時間線に君たちはいた

作者真紅茜

幕末にタイムスリップした女子高生 遼(リョウ)。そこで出会った新撰組と攘夷志士たち。そして彼女に突きつけられた使命は…「まさかの二重スパイ!?」

二重スパイ…

ある勢力が送り込んだスパイが、同時に相手側のスパイでもあること。また、その者。









「ひくっ、私、元は普通の女子高生だったんだよぉ〜」


なのに何で…。


「攘夷志士への間者なんかやらされるわけ?!」


「ハハ、もう今更じゃないですかー」


うるさい沖田総司!


「てか、まだ諦めてなかったのかよ」


黙れ黙れ黙れっ、土方顔だけ野郎!


「うーん、嫌ならここから出る?」


わー、優しいー近藤さん。


でもこの人、二面性なんだよな。


「私が帰る家ないって知ってて、言ってますよね?」


「ありゃ、バレたかーはっはっはっ!」


皆んなが口を開けて笑い出す。



まるで仲間みたい。



でも、私は敵なんだよ、皆んな。



仲間の皮を被ってるだけなんだ。



……なんて、口が裂けても、言えないけど。





「では、遼くん。報告頼む」


だけど良心は痛まない。


コイツらだって鬼だから。


脅しをかけて私を、女の子を平気で死地に送る。


「はい。攘夷志士は近々、何かを起こそうとしている様子で。三日前、火薬や武器の買占めが行われました……また、それが行われる人数はだいたい……」


澄ました顔で漏らせる限りの情報を伝える。


「分かった。また、頼む」


「へいへい……」




あぁ、本当になんでただの女子高生がこんな命の綱渡りをしてるんだろ…。