『青春の記憶/心の中の大切な日記』【完】

第10章  /決心

涙が溢れ歌声が震えた。


演奏を優しい目で見守る老人さんたち。


時間は静かにゆっくりと流れ
二人が演奏を無事終えた瞬間
食堂に大きな拍手と歓声が沸き上がった。


『よくやったぞ!』


『最高やなぁ!』


『おい!若いもん、最高やッ!!』


『今日はサンタクロースのお二人
 ありがとうございました。
 心に響く音楽に感動いたしました。
 お二人からここにいる皆様に
 クリスマスメッセージをどうぞ。』


介護士の女性がマイクを俺に向けた。

急な挨拶に少し戸惑った。



しばらく沈黙が続いた。



『あまりにも音楽に気持ちを入れすぎて
 涙がでました。。
 この場所にはいろんな気持ちが
 集まっているように感じます。
 皆様は私たちの大先輩で・・・
 今日までいろんな人生を
 歩かれてきたと思います。
 その中で嬉しい気持ちや悲しい気持ち
 勇気や迷い・・
 誰かを好きになったり、けんかしたり。。
 いろんな思いと向き合われたと思います。
 そこで今日、私たちとの思い出ができました。
 思い出って忘れてしまう時があります。。
 でも・・忘れても心にその時その時・・・
 大切にしまってあればそれでいいと思います。
 私たちには今という大切な時間があります。
 今という時間、小さなしあわせを
 少しでも感じることができたなら。。
 それはそれで最高だと思います!!!
 メリークリスマス!!
 皆様お元気で。。また会いましょう!!』


俺は元気な声で老人さんたちに
思っている気持ちを伝えた。

ゆりはその姿を見て
隣で優しく微笑んでいた。


『皆様に私たちから
 小さなプレゼントがあります!!』

そう言いながら老人さん一人一人に
握手しながら小さな袋に入れたアメを配り
クリスマス会は終了した。


二人は帰る前
おばさんの部屋に向かった。

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