『青春の記憶/心の中の大切な日記』【完】

1通の手紙にはこう書いてあった。


あんたらがこれを読んでいる時は

私はいないかもしれん。

これは毎年、毎年書いて入れとったんよ。

この季節が来るたびにこの私が書いた手紙を
読んで1年無事生きさしてもろたと感謝しとるんや。

お父さんはお雛様飾るん
手伝わへんでここにもしもの
遺書を入れとこうと思ったんや。

遺書といっても自殺なんかを
考えているわけじゃない。

余命数ヵ月という病気になったわけでもない。

だから心配しやんといてな。

もしもの場合の私の気持ちや。

そのために遺書を書いてみようと思ったんや。

本を読んでたら、こんな質問があった。

「人生が残り3日間しかなかったら何をしますか」 

真剣に考えてみた。

3日間を悔いなく過ごすにはどうしたらいいか?

そして、一番したいことが見つかった。

それは、あんたらにメッセージを伝えること。

あんたらと出会ったことが私にとって

どれほど幸せなことだったか。

あんたらからどれほどたくさんの

喜びと生きがいをもらったか。

私があんたらにどんなに感謝しているか。

そのことを心の底から伝えたい。

素直な言葉で伝えたい。

だから、もし万一のことがあって

そのメッセージを伝えることなく
世を去ることになったとしたら
私はそのことを悔やんでも悔やみきれやん。

だから、生きているうちに普段の言葉のままの
私の気持ちを手紙に毎年、毎年、書くことにした。

ひなまつりが来るごとに幸せに感謝できるしな。

これから、私の本当の気持ちを書くな。

そしていつの日か、私がこの世を
去ったとしてこの気持ちは
永遠に消えることはあらへん。

あんたら、私がもし死んでても
悲しんだらあかんで。

ゆり、わかっとるか。

ゆり、私も同じように親が
天国へ行き悲しい思いをしたんや。

同じ気持ちやで。

母さんも同じ思いしたんや。

でもあんたらと楽しく過ごした。

後悔はあらへん。だから、悲しまんといてな。

ゆり、あんたがいきいきと成長していく姿が
母さんにとって最高の喜びなんや。

母さんは親としての喜びを知ることができた。

ゆりもいつか親になったときに知るやろう。

クリスマスやゆりの誕生日がやってくるたびに
いかにしてあんたを喜ばそうかと
父さんと考えたなぁ。

それは、お父さんとお母さんにとって
何よりも楽しみなこと。

ゆりはお父さんとお母さんに
たくさんの喜びと楽しみと感動を
もたらしてくれた。

父さんのこともたのむで。

あんたが保育園で父の日にあげた
プレゼントを覚えてるか?

あんたが描いてくれたお父さんの顔の絵や。

お父さんはそれを会社に持っていって
引き出しに入れているんや。

仕事で辛いことがあっても
その絵を見ると元気が出るそうや。

ゆりの存在が、お父さんとお母さんに
元気と勇気とやる気を与えてくれた。

私たちを人間として成長させてくれた。

私たちはあんたからたくさんのものを
もらってるんや。

父さんをたのむで。

とにかく、私のことで悲しんだら私が悲しいんや。

だから落ち込まず、悲しまず
安心して今したいことをしたらいい。

今を幸せに生きたらいい。

母さんは、ゆりがゆりであることを
いつまでも応援するから。

神さまへ

父さんとゆりに出会わせていただき
ありがとうございます。

素敵な家族と幸せな人生をありがとうございます。

来年も幸せな気持ちで手紙が書けますように。。




そんな温かい手紙だった。

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