『青春の記憶/心の中の大切な日記』【完】

4月1日からこのホームでの
就職が決定した。

就職する数日前、おばさんの誕生日に
ゆりが演奏していた砂浜に座り
日記を久しぶりに書いた。


『久しぶりに日記を書いた。

 今日は君と学校帰りによく行った
 砂浜に久しぶり行った。

 俺にとってみたら
 一番幸せな時間を過ごした場所。
 
 周りの風景は少しも変わていなかった。

 どこに立ってみても
 空気はやはりあの当時のまま。

 懐かしさで胸がいっぱいになった。

 今は君の手紙を何度も読まなくても
 一文字一文字…
 心の中に大切にしまってある。

 海を眺めながらいろいろと考えた。

 今までは人生に絶望していたけれど
 今は懐かしいと思える。

 砂浜で過ごしたあの時間を 
 何よりも愛しいと思える。

 あの時間が俺の中にあって
 良かったと心の底から思える。

 少し、あの頃に戻りたいなんて
 思ってみたがそれは叶わないこと。

 もう交わることのない二人の運命だが
 あの時、君を精一杯愛することが出来て
 俺はとても成長できたのだと思っいる。

 二人の運命が一瞬交わったあの瞬間
 俺は世界の誰よりも一番幸せだったと思う。

 忘れようともがいていたあの日を
 そっと心にしまって生きていく。

 逢いたいのに逢えなくて
 連絡したくてももう出来ない存在になって…

 心はそう繰り返し悩んでいたが
 こんなにも人を好きになることができた。

 大切な気持ちを教えてくれてありがとう…

 俺と出逢ってくれてありがとう…

 今は、心の底から感謝している。

 君を好きになったこと。

 優しい笑顔。

 温かい気持ち。

 君とではなければ生まれなかった。

 そのことが全てなくなってしまうのは
 とてもつらかった。

 別れはつらい
 確かにつらかった。

 心からしあわせだって
 思えることがたくさんあったから
 それは永遠でなかったとしても
 とても幸せなことだった。

 きっと、これからもそんなに愛する人と
 出会えるなんて思えないかも知れない。

 でもきっと、最後に自分にとって
 大切な人は必ずそばに残っていると思う。


 心が痛むほど君を好きになれたことは
 誇りに思う今日この頃です。


 ゆっくりゆっくり歩いていきます。』


書きながら明日からは日記は書かず
心の中に入れておこうと決意した。

家に帰り、涙晴の空の歌詞カード
ゆりが書いてくれた楽譜
ゆりの日記、俺の日記を
ダンボールに入れて押し入れにしまった。

ただ桜の樹の下に写る
俺たち三人の写真は
ダンボールには入れなかった。

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