『青春の記憶/心の中の大切な日記』【完】

みんなが入居者と会話しながら
手際よくオムツ交換をしている。

中にはすごく嫌がる入居者もいるが
一人が話をして気持ちを落ち着け
その間にもう一人がオムツ交換をしている。

『木下君、明日からは私と一緒に交換するからねっ!
 私、あんまり説明、うまくできないかも
 しれないけどよろしくねっ!』

鎌本さんがオムツ交換をしながら声をかけてくれた。

エレベーターに台車を乗せて
今度は1階の奥の部屋から排泄介助が始まった。

1時間くらいで45人
(残りの5人は自分でトイレに行ける人)の
オムツ交換が終わった。

排泄介助が終わると各部屋ごとの掃除をした。

高木さんに掃除のやり方を聞き
1階の部屋に向かった。

『たづさん!木下健介さんやで!
 男の人が来たから嬉しいな~』

高木さんが明るい声で俺を紹介してくれた。

『そうだねぇ。また話し相手になってな!
 あんたさぁ、ずっと前、
 ここに演奏しに来てなかったかい。。』

『そうです!覚えてくれていましたか!』

『息子と同じ名前だから覚えていたんだわ。
 あの頃、もらった歌詞カード引き出しに
 大事に入れてあるよ。。』

そういいながらベッドの隣の棚にしまってあった
歌詞カードを見せてくれた。

『木下君、ここに演奏しに来たことがあんの。。
 楽器の演奏できるんやッ!』

『はいッ!随分、前になりますが。。』

『そうなんや!また聴かせてな!』

『この青年もゆりちゃんの演奏も素敵やったわ~』

ゆりの名前を聞いた時、少し驚いた。

ゆりの演奏を覚えている人がいたことに
とても嬉しく感じた。

学生時代、面会にも来ていたが
いろんなすれ違いであのクリスマス会で
見覚えのある職員の顔は当時から
だいぶ変わったように思う。

高木さんに聞くと結婚をして退職したり
腰を痛めて退職したり…
5年ぐらいの間隔で介護士の顔ぶれが
変わっているみたいだ。

ベッド周り、洗面所の磨き、シーツ交換…
いろんな掃除のやり方を細かく教えてもらった。

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