温かい手を持ってる  第一部

温かい手を持ってる ―第一章― /憎悪

――…それは2月下旬に起こった。

コータさんと晩御飯を食べるようになって1ヶ月程経っていた。
この頃の私は、有頂天になりすぎて周りが見えてなかった。


その日も、私はいつもの場所でコータさんが来るのを待っていた。

習慣のように人混みの中、コータさんの姿を探す。


でも、何時間待ってもコータさんの姿は現れなかった。

私を晩御飯に連れて行ってくれるようになってから、コータさんは遅くても終電の2時間前には繁華街に来るようになった。
なのに今はもう終電1時間前。

(…何かあったのかな?)
私は鞄から携帯を取り出し、コータさんに電話を掛けた。

『【只今お掛けになった電話番号は電波の届かない所にあるか電源が入っていない為かかりません】』
携帯電話から、機械的なアナウンスが流れる。

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