温かい手を持ってる  第一部

温かい手を持ってる ―第一章― /好きな人

「マキ、お昼行こ!」

名前を呼ばれ、机に突っ伏して寝てた私は顔を上げた。
既に教室の中はガランとしていて、何人かがお弁当を広げ楽しそうに食べている。

「あんた、ずっと寝てたの?」
いつの間にか私の席まで来ていた杏ちゃんに声を掛けられ、私は杏ちゃんに視線を移した。

「…うん。びっくりした。タイムスリップだぁねぇ」
私は眠い目をこすり、引き出しからお弁当箱を出し立ち上がった。

「ちゃんと授業聞いておかないとダメじゃない。2年になれなくても知らないよ」
そう言いながら、先に廊下に出ている美佳の方へ歩いて行く杏ちゃんの後ろを私は小走りに追い掛ける。

「マキ、寝ぐせ」
杏ちゃんの後から教室を出た私を見て、美佳がクスクス笑いながら寝ぐせのついた私の短い髪を撫で直してくれた。

高校に入学してすぐに仲良くなった美佳と杏ちゃんは私にとって大事な友達。
お洒落に夢中で可愛らしい美佳と、背が高くてクールなお姉さん的存在の杏ちゃんが私は大好きだった。

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