温かい手を持ってる  第一部

温かい手を持ってる ―第一章― /拉致

人に殴られるというのは初めてで。
全身を打撲すると熱が出るという事を初めて知った。

あの日、私はお兄ちゃんに電話して迎えに来てもらった。
繁華街の道端でボロボロになっている私を見つけたお兄ちゃんは目を真ん丸くしていた。

私の家は両親があまり家におらず、放任主義だった。

お兄ちゃんと私は2人兄妹だったけど、お互い干渉されるのが嫌な性格だったので「転んだ」と私が言うと、お兄ちゃんは「そうか」とだけ言って何があったのか詮索して来なかった。


それから4日ほど微熱が続いた。
熱がひいても顔の腫れが引かなかった所為で、結局私は10日程家から出れなかった。

私は毎晩コータさんのジャケットを抱き締めて眠った。

毎晩思うのはコータさんの事ばかりだった。

0
  • しおりをはさむ
  • 3069
  • 5016
/ 437ページ
このページを編集する