王子様から、花束を〔完〕






「…、」





感情の読めない顔。

橘さんは…何を考えてるの?





「鈴香さん」


「…はい」





数秒後、名前を呼ばれる。

グッと、
その緊張感の中、唾を飲んだ。





「僕と一緒にいましょう」


「え?」


「僕が貴方を笑顔にします」


「…、」


「僕は貴方の笑顔に惹かれたんです」





ふんわり笑った橘さん。

いつもと変わらない。





「僕と、付き合ってください」






人は…誰でも過去をもっている。


辛い過去、
忘れたい過去、
苦い思い出、
思い出したくないこと…


それを乗り越えないと人は、生きて行けない。

だけどそれを乗り越えるには、
一人じゃ無理なときだってある。





「…はい」






だから私は、この人を選ぶ。


私は今、この人が好きだから。




今、この温かい胸は
この人がくれたものだから。






0
  • しおりをはさむ
  • 84
  • 49
/ 267ページ
このページを編集する