花笑み

episode2






「春香、帰ろ」




始業式終わり。すぐに湊くんは年季の入ったエナメルバックを背負って笑顔で入ってきてくれて。



今朝髪を褒めてもらった女の子を見るとやっぱり湊くんを見てて。ああこの子とも友達になれないんだな、って分かって。




「早く。帰ろうよ」

「そうだね」





私も中学からずっと使ってる、年季の入ったスクールバックを背負って立ち上がる。


梨花ちゃん…はトイレかな。まぁあとでLINE入れておけばいっか、と急かす湊くんに答えて。





「ね、今日どっか行く?」

「んー…いつもみたいにDVD借りて見ていいんじゃない?」





校門を出て自然と繋がれる手。昔は互いに恥ずかしい、って思ってたけど慣れっていうのは良くも悪くも人を変える。




「…、」





と、レンタルビデオ屋にじゃあ向かおっか、ってときに過った今朝の梨花ちゃんのセリフ。


いや、今考えるのは可笑しいでしょ。家にお母さんいる、って言ってたしいつもと同じ流れだし。



ないないないない。ない、んだけど…





「どっか買い物行きたい、な」





思考は私を離してくれなかった。





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