夕焼けノスタルジー【完】

2章 /この苦しみを誰かに救って欲しいわけやない




「あー」



腕に抱いていた赤ちゃんが何かを訴えかけるように手を伸ばしてくる。その手が私の服の襟元を掴んだり離したり。



真くんという男の子は私の腕の中に、心ちゃんという女の子は優さんの腕の中で抱かれていて。二人共人見知りは今の所あまりしないのだと愛理さんが言っていた通り、泣いたりせずにとても良い子にしていてくれる。



「ごめん!服シワシワになってしまうかもしれぬ!」


「あ、全然大丈夫ですよ」



キッチンカウンター越しにその様子を見ていた愛理さんは、申し訳なさそうにそう言った。



「そっちにカレー運ぶから気を付けてくれたまえ」


「お前が一番危なっかしいわ。俺が運ぶからお前は大人しく座ってろ」


「ええーだって、結局全部つーくんにやらせてしまったじゃないか!一緒に手伝おうと思ったのに邪魔だとか言うし」


「お前が居ると逆に効率悪いんだよ」


「嫁に対して言う言葉では無いよね」


「本当の事だろうが」


「たまにはきゃっきゃうふふしながら作ろうよ」


「気持ちだけ受け取っておくわ。そのままそれをゴミ箱に捨てる」


「最低だな!本当に最低だ!」



カレー皿を両手にこちらへとやってきた旦那さん、基翼さんはひっしと私の服を掴む真くんを見つめると「めちゃくちゃ懐いてんな」と破顔して言う。


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