夕焼けノスタルジー【完】

2章 /心だけ壊れていく音に気が付かない振りをした




ここ最近いつも迷ってしまう事がある。



壊れてしまった関係の中、優さんから求められる事はほとんど無くて、私の口からそれについて触れるしかない。



仕事終わり、いつものように優さんの住むマンション前まで送り届けた。



車内にはまだ、優さんの姿があり、沈黙の中どうするべきかひたすら無音の中考えてる。上手な誘い方なんて一度だって出来た事は無い。いつだって何か失敗して、その度優さんを怒らせてしまう。



今日もそうーーーーー。



考えあぐねた末に出てきた言葉なんて陳腐な一言くらい。



「今日は……しないんですか」



車内に広がる、滑稽すぎる私の言葉は呆気なく再びの無音に飲み込まれていく。



バックミラー越しに窺うように優さんを見つめると、窓の外に向けられていた視線がゆっくりと私へと向けられた。その軽蔑するような眼差しと、怒りを押し殺すような深い溜息。


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