夕焼けノスタルジー【完】

1章 /知らぬ出会い




健康に良さそうなランチ定食を目の前にしながらも、向かいから頬杖を着いて向けられる視線になるべく気が付かないようにする。



俺はパチンと両手を合わせてから箸を掴んだ。



撮影の合間の休憩で、それぞれ適当に近場の店に向かう中、何故か撮影が一緒やったモデル仲間の柚子に「一緒に昼食べようよ」と誘われて今に至る。口に入れば何でもええんやけど、ほんまに色々な店知っとるよな。



この間はインドカレーの店に連れていかれたのを思い出す。あそこは結構辛かった。



「汐ちゃんも誘えば良かったのに」



童顔な顔立ちは俺より一つ年上とは思えない程若く見えて、その幼い顔立ちを活かすような緩く巻いた髪のセットが良く合ってる。



もの言いたげな視線の理由をようやく口にした柚子は、遅れてパチンと両手を合わせてから煮込みハンバーグを細かく箸で切っていく。



「俺が誘わんかったみたいな言い方やめろや」



隣で見てたくせに。声は一応―――――かけた、「休憩やけど汐ちゃんはどうする?」って、そしたら「適当に取るから大丈夫です。気を付けて行ってきてください」という返答。



それ以上、もう言う事無いやん。


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