夕焼けノスタルジー【完】

3章 /何度間違って、何度後悔するんやろう




俺は汐が戻って来る事をずっと望んでいたはずで、それがどんな形であれ、隣に居てさえくれれば良かったと思っていたはずやのに、こんなに胸が苦しいのはどうしてなのか。



鳴海家の敷地内の広さは圧倒される程で、丁寧に手入れされたアーチ状の薔薇の下を通過すると、広いガラス張りの一階が姿を現した。カーテンが開かれているその中に、相変わらず汐の姿はどこにも無い。



呼び鈴を鳴らすと、階段上から使用人の女が姿を現して扉を開いてくれた。



「汐は?」



深々と頭を下げる使用人に問うと、ここ数日見せた苦い表情を微かに浮かべる。



「お嬢様は自室にいらっしゃいます」


「分かりました」


「旦那様が、入るならどうか慎重にとおっしゃられていました」



もう聞き飽きたその台詞に溜息を零しながらも、鳴海家へと足を向けた。



この家に汐が帰ってきた事をこんなに複雑に思う日がくるなんて思わなかった。



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