夕焼けノスタルジー【完】

1章 /そんな一言すら言ってくれない




胸騒ぎというか、何やろこの違和感。



スタジオで行われている撮影は順調で、ポージングを変えて何十枚とカメラの中に収めていき、また衣装を変えるを繰り返す。早朝から行われていた撮影は休憩を一旦挟んでまた再開されていた。



春に撮影するのは季節を一つ飛び越えた秋服撮影。モデルが一番きついのは、真夏に冬服の撮影をする時期と、真冬に夏服の撮影をする時期。



どちらも寒くて暑くて見ているこっちが辛くなるほど。



やけど優さんはどの季節にどんな服を着ていても、寒さも暑さも感じさせないような表情で淡々と撮影をこなす姿しか見た事が無い。



――――――――今もそれは同じで。



「今日の優、調子良さそうだな」


「そうねえー。でも優が調子崩してる所なんて見た事無いけどね」


「まあ、確かにそうだ」



納得したように隣で頷きあっているのは、ヘアメイクの伊月さんとスタイリストの浅野さん、そこにカメラマンの楓さんにモデルの優さんを入れれば今一番の最強タッグとも言われているメンバーが集まっている。



「どう?マネージャーの目から見ても今日の優最高じゃない?」



性別はどこからどう見ても男性の方やけど、所謂そっちの方らしい浅野さんから満足気な視線を向けられて私は返答に困りながらも「そうですね」と曖昧に言葉を濁した。



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