夕焼けノスタルジー【完】

1章 /だけれど胸はやっぱり少しだけ痛かった




電気を消した寝室の中、両腕を組んで暫く待っているとピピピと測り終えた合図が響いた。



普段ソファーでばかり寝ている優さんを寝室へと引きずってくると、倒れ込むように寝転がって一言「寒い……」と珍しい本音が口から零れた。ほら、やっぱり。



クイーンサイズ程もありそうな広いベッドの真ん中で、猫みたいに丸くなっている姿に急いで布団をかけていく。



「何度ですか」


「……36…度8とか?」



熱がだんだん上がってきたのか、先程よりも力の無い声がベッドから返ってくる。口元まで引き上げた布団はめくられないまま、微動だにしない優さんに痺れを切らして片手をズボリと突っ込んで体温計を引きずり出す。



暗闇の中目を凝らすと【38度9】の数字。39度近いんやけど。



「夜間救急行きますか?」


「いや、ほんまに大袈裟」


「この体温見てそれが言えますか」


「見せんで……具合悪くなりそう」



もう具合悪いんですよ、ええ加減自分の体調にくらい気づいてください。



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