夕焼けノスタルジー【完】

1章 /感謝と申し訳なさくらいは感じてる




部屋の中を確認するようにして、次々と閉まりきっていた部屋の扉を開けていく友人の姿を廊下の壁に背中を預けながらもぼんやりと眺めていた。



躊躇無くたった一つの部屋だけ避けて、扉がガチャンガチャンと音をたてて開けられていく。



閉ざされた部屋を改めて見ていると、言葉にするには難しい、何とも言えない感情が心の中を埋め尽くしていく。



それは冷え切っているようでもあって、どろっとした自分の情けない感情でもあって。



それら全てを開けきった隼人(はやと)は、驚愕したようにゆっくりと俺に身体ごと振り返ると。



「優ちんの部屋がめちゃくちゃ綺麗だ」



愕然としたような声でそう言った。



その声に心の中に溜まっていた言葉の無い感情がサーっと波のように引いていった。



いや、ええ事やん。いつも汚い汚いって文句言うてるんやから。



隼人は中学の時からの友人で、そこから高校、卒業後もこうして頻繁に部屋のチェックに訪れる。



他にも数名、友人がチェックに訪れるけれど、毎度毎度来る度に「汚い」「どうしたらこうなるんだよ」「お前まともに飯食ってねえだろー」「良くこれで生きていけるね」と文句や罵倒をこれでもかというくらいぶつけられる。急に訪ねておいて失礼すぎやろ。


0
  • しおりをはさむ
  • 403
  • 4159
/ 380ページ
このページを編集する