夕焼けノスタルジー【完】

2章 /私も一緒に連れて行って




「あの……ごめん散らかってるけど」


「いや……大丈夫」



廊下の電気を灯して部屋の中へと促すと、要は暫くその場に佇んでから意を決したようにして中へと入ってきた。その表情は【こんな部屋に住んでるん?】と言いたげやった。



1LDKの至って普通の部屋。一人暮らしをするには丁度良すぎるサイズ。



廊下を抜けてすぐ脇にキッチンがあり、リビングキッチンになっている部屋の中央にラグとテーブルと二人掛け程度のソファーがあるだけの部屋。



愕然としたように佇んでいる要を無視して「何か飲む?」と聞くと、「いや」と頭を横に振られる。



そんな長居をする予定で来たわけやないと、そう言うみたいに。



エアコンが着いていなかった部屋はムシムシと暑く、冷蔵庫から麦茶のペットボトルを引き出して二人分のグラスの中へと注いだ。



両手にそれぞれ持つとひんやりと冷たくて気持ちが良い。



所在なさげにソファーへと腰を下ろしている要の前にグラスを差し出す。反射的に掴んだのを確認してからエアコンのスイッチを押した。



私は立ったまま、グラスの中身にちびちびと口を付ける。



ここは私の部屋のはずやのに、居心地が酷く悪かった。


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