怪異と私の恋物語【完】

第一章 主と僕 /契約

山の中で少女は泣いていた。
暗い暗い木々に囲まれた山の中、迷子の少女は泣いていた。

月の光が彼女の涙を照らす。
愛する両親と兄の名を何度叫んだだろう?
彼女の声はもう掠れ、もう動く体力も失われていた。

深い深い山の中。
捜索隊が出動しても、最低1週間は彼女を見つけ出すまでかかるだろう。
それまでとても少女の体力は持ちそうに無い。
少女を待っているのは【死】しかなかった。

それを本能で分かっているのか、彼女はもう会えないであろう家族の顔を思い浮かべながら
嗚咽を上げながら泣いていた。


「ひっく…ま、ま…ぱぱ。
おっ…っ、にーちゃっ‥」


涙を拭くその小さな手には無数の傷が刻まれていた。
同様に腕、足、顔にも血が滲んでいた。

痛い、怖い、一人ぼっち。
そんな絶望的な状況に置かれていた。
助けてほしい、誰でもいいから、この状況から‥。
幼い少女は、只管神に願った。
助けてほしいと、助けてくれと…。

だが、無情にも時は流れ…ついに少女が山に迷い込んで4日が経った。
涙は枯れ果て、唇は干からびていた。
空腹に苦しみ栄養価の無い葉を握りしめる力も無く、また空腹を気にする余力も残っていなかった。
少女は、悟った。


あぁ、死ぬのかと。

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