怪異と私の恋物語【完】

第二章 波乱万丈 /到来

「はぁ~、今日も学校つかれた~」

「朱利、お疲れ様~。
いつも本当にありがとうね」

「そんな情けは、狐には不要ですよ菜舂様。
前回、菜舂様を守れなかった、
利用価値、存在意義、皆無ですからね」

「主君…俺の事、嫌いなんですか?」

「おや、やっと気がつきましたか?」



笑顔で言う台詞じゃないからね、魁。
こんな会話が更衣室事件以来繰り返されている。
いい加減、許してあげようよ魁。
そもそも女子更衣室とは男子禁制の聖地なんだよ?
純情な朱利には踏み込み不可能な境地だって。



っていうか、乗り込んで来たお前がおかしい。



溜息をつくのは、これで何度めだろう?
そういえば、魁が来てから弥鶴からの電話が来なくなった。
アノ弥鶴から電話が来ないだなんて、
天変地異が起こる余興なんじゃないかと思った。
音沙汰一切無し。



本気で不安だ。



いや、彼女でも出来たのならいいんだよ。
だけど、何か事件にでも巻き込まれたのかなとか
唯一の兄妹にだけ本当に心配だ。
あんなシスコンな弥鶴だけれども、
とても私を大切にしてくれるのは重々承知しているし、
だからこそ毎日、日本を離れても
わざわざ国際電話を使ってまで私と喋ってくれていた。


たとえ、後日に学論の発表会があろうと、
大統領のパーティーが控えていようと、
私の為なら全てを犠牲にして来た弥鶴。
それが申し訳ないのと同時に、
凄く嬉しかったのも事実。



あぁ、私もブラコンなのかしら。



少々自分に対してすごく不安になってきたよ。
浮かない顔をした私を気にしたのか、
魁が私の顔をのぞいてきた。



「菜舂様、顔が優れないようですが、
どうかなさいましたか?」



アノ件以来、特に変わらない魁。
ただ少々過保護度が上がった気がする。
後は、私が妙に意識をしてしまい、
ちょっと戸惑っているだけ。



「な、なんでも無いよっ!」



あぁ、熱が顔に上ぼっているのが分かる。
それを見て、楽しそうに笑う魁。
絶対確信犯だ。
伊達に長生きしてないな。

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