怪異と私の恋物語【完】

第一章 主と僕 /命名

「…ごめんなさい【僕】ってどういうことかしら?
私、貴方に会うのは多分初めてでは無いと思うのだけれど…」


そういうと目の前に居る【彼】は、微笑んで


「えぇ、会うのはこれで2度目になりますよ、菜舂様」


…初対面と変わりないじゃないか!?
そんな人間の【僕】宣言て…


意味分かって言ってる?


「あのー、【怪異】ってマジですか?」


そう、怪異って言ったら、私が想像するに、お化けだの、幽霊だの、化け物だの、妖怪の類。
だけど、目の前に居る彼は、どう見ても美青年だ。


それはもう、目を見張るほどの。


そういうと、クスクス笑う自称【怪異】。
笑う姿もまたとても美しい。


「人間は、年老いるのも早ければ、忘れるのも早い。
まぁ、無理もありませんね。
10年も前の話ですし、貴方は死ぬ運命にありましたから。」


10年前…やはり、彼は私が幼い頃みた【彼】なのだろうか?
私が山で遭難し、奇跡的に無傷かつ健康状態で発見された。
それは本当に異例としか言いようがなかった。

何かしら絶対損傷があるはずなのに、
居たって無傷であり、空腹であって当然なのにそれすらなかった。


「10年前、私が遭難した時に助けたのは貴方?」


それにしては、口調も何もかも違うけれど…。
だって、あの人は、私を上から目線で見下して居て…。
私が死のうがどうでもいいといった感じだった。
それに手が黒かったような気がする…。


「いかにも、私でございます。」

「でも、口調が違いすぎる…。」


そういうと、それはもう素晴らしい笑顔で


「それは、現代の人間の口調を覚えましたから。
敬語というのも、私が知っている時代とは
だいぶ違いましたからね。」


なるほど…ん?

でも、何故、彼は私の【僕】なのだ?
それに彼はまだ応えていない。
っていうか、怪異、怪異っていっているけれど、


彼の正体は何なんだ?


「ごめんなさい、いきなり【僕】と言われても…。
一体何故貴方が私の僕になってしまったの?」

「それは、貴方が私と【契約】してしまったからです」



・・・・・はぃ?


0
  • しおりをはさむ
  • 2994
  • 107
/ 286ページ
このページを編集する