怪異と私の恋物語【完】

目を覚ました愛しい俺の菜舂。
彼女に見せた過去は、俺が知る残虐な奴の姿。

人を殺し、人を喰らう。
同じ怪異を殺し、妖力を吸い取る。
残虐、冷酷、非道、血も涙も無い姿。

菜舂には悪い事をした。
だけど、菜舂…お前も悪いんだ。
俺を見なかった。
俺の愛を否定したお前も…。

でも、俺はそれすらも許そう。
お前を愛しているから。
全てを許そう。

美しい黒い瞳が俺を映す。
微笑んで、彼女の目覚めを迎える。
あぁ、どんな言葉をかけてやろうか?
そう思い口を開いた次の瞬間。


思いっきり頬を叩かれた。


一瞬何が起こったか分からず、茫然とする。
涙を溜めた菜舂。
あぁ、その涙を拭ってやりたいと思うのに、身体が動かない。

腕を突っぱねて、俺から離れる可愛い菜舂。
何故俺を拒絶するのか分からない。
そして、何より何故お前が



奴へと視線を向けるのか分からないんだ。



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