怪異と私の恋物語【完】

最終章 これが怪異と私の物語 /悪戯

あぁ、全部思い出させていただきました。
ハハハ、他人行儀にお嬢さん呼ばわりしやがって、似非紳士が。
何で記憶が戻ったかは知らないが、馬乗りになっている今、彼は逃げられない。
いや、押しのけることは容易であろうが、彼は決してそんな事はしない。



だって、私を愛しているのだから。



よくもまぁ、6年前にあんな事をしでかしてノコノコを現れた事っ!!
冥土の土産といわんばかりに黒い羽1本残しやがって…弥鶴の真似かっ!?
ふざけるのも大概にしてほしい。

まだ、私が記憶を戻した事を理解していないであろう目の前の【元僕】は、答えない私を不思議そうに見上げている。
私はサディストの気は無いが、見下ろしていて何とも気分がいい。


6年前の恨み…ここで晴らさせて頂きましょうか?


満面の笑みを浮かべて、私は彼の胸辺りに手をおく。
驚きながらも身じろぎしない辺り、私を崇拝する心は変わって居ないようだ。
そして私は、自分も鳥肌が立つような猫撫で声を発した。



「えぇ、お陰さまで傷一つ無いわ。
‥‥ありがとうね、【魁】」



私が彼の名を呼ぶと、一瞬のうちに目を丸くし心底驚いた顔をする。
そりゃあそうだ、記憶消した筈の人間が何故か覚えてるんですからね。
驚け、そして跪いて私に謝るがいい!!
キャラが違う?


人間、怒ると人格変わるんですよ。



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