怪異と私の恋物語【完】

第一章 主と僕 /忠義

「ねぇねぇ、七尾君って何処から来たの?」

「目の色赤いけどカラコン?
うちらの高校、そういうの禁止だよ?
外しといたほうがいいよ?」

「どうしてこの時期にここに引っ越したの?
お父様のお仕事関係?」

「お弁当とか大丈夫?
購買まで案内しようか?」


…うるさいです、お嬢様方。
現在、昼休み。
私の左隣から女子の皆さんのマシンガントーク。
全て朱利に対する質問ばかりだ。

ゆっくり食事くらい取りたい。
それも許されんのか。
盛大な溜息をつく。

しかし、質問されている朱利は、私以上に不機嫌だった。
無理もない、彼は人間では無い。
私に対する当初の反応からすると人間嫌いと見られる。

彼は無表情だったが、私は見た。
彼が持っている金属製であろうペンが


有得ない方向に曲がっているのを。


あちゃー、相当キテるね。
爆発しないかハラハラする私。
嫌な予感がしてならない。
そして、その予感は…


「…ギャーギャーうるさい。
昼休みくらい黙って食べれば?
俺、腹減ってんの。
腹減ってて不機嫌なの、分かる?
ただでさえ慣れない場所で疲れてるのに、そんなに一度に質問されて答えられると思う?
少し考えたら分かるでしょ?」


吹雪が到来した。
空気が一瞬にして固まった。
あんなに煩かった女子の皆さんは、一同口を噤んだ。
すると、慌てた様子で弁解と謝罪の言葉を
次々と口にする。


「ごめんね、そうだよね。
気が回らなくてごめんなさい」

「七尾君の事、知りたくて…余計なお世話だったよね、本当にごめんなさい」


女子の皆さんは、申し訳なさそうに若干首を傾げて可愛らしく許しを乞う。


…猫かぶってますねー。


いや、そりゃ分かるよ。
こんな美男子が転校したんだもん。
そりゃ知りたいし、お近づきになりたいよね。

そりゃ少しは可愛らしくしたいと思う。
だけど、そんな可愛い仕草しても多分…


「うん、分かったならいいから。
ホントほっといて。
俺の視界から消えてくれると本当に助かるんだけど」

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