怪異と私の恋物語【完】

第二章 波乱万丈 /疑念

※過剰な愛情表現がございます。
 ご了承くださいませ。


場所は変わって、職員室。
騒動が起こっている昼休み、
本来ならば、鏡越しに
監視しているであろう魁は、
とある思いに耽っていた。


室内には教師は居ない。
皆、学食へと足を運んでしまい、
残されているのは彼だけだった。


無論、彼が現れる前の
職員室ではこのような事態は
ありえない事だった。


元来、教師達にとって
職員室で昼食を取るのは当たり前であり
唯一、教師としての肩書を下ろし
素に戻って話し合う事が出来る
貴重な場であったのだから。


しかし、それは魁の出現によって
いとも簡単に崩された。
彼は持ち前の怪異としての能力を使い
自分以外の者を空間から払ってしまった。


それも彼が愛しい主人を思い、
彼女の姿を見る為の空間を確保するため。
前回のような事は、繰り返したくなかった
というのもある。


だが、今回はそれだけでなく
彼の頭から離れない問題に対して
答えと解決策を出すべく
思考を巡らせていた。



【林 弥鶴】



画面越しに見えた彼の姿。
菜舂様は、彼を【兄】と言っていた。
だが、どう見ても兄妹には見えない。


彼女と共通する点があるといえば
日本人万人に共通する
黒髪と黒眼のみ。
顔の造形などは、
彼女の両親のどちらとも
似ても似つかず、
とても林家の一員だとは思えなかった。


それだけではない。
菜舂様が、画面から一瞬目を離した時、
ハッキリと彼女の兄は、
自分の姿を捕えたのだ。


妖術を使って、
どんな機械を通しても
見えないようにしていたにも関わらず
彼は、己の姿をその目で捕えた。
その瞬間、思わず息を呑んだ。


ただの人間である筈の彼が
何故自分の妖術を破り
自分を見据える事が出来たのか。
それが魁には理解できなかった。


そして、自分を捕えた時の
彼の反応は、家族のソレとはまるで違った。
人間があれほど冷酷な眼を
自分に向けることが出来るだろうか?
怪異の中でも自分をそう見た者は居なかった。

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