Street black cat Ⅲ【完】
第10章:野良黒猫、飛ぶ /変貌と医者
渋々、本当に渋々頷くと高杉十悟は少し息をついて私の頭を軽く撫でた。
一応気遣っているのか、頭に触れたか触れてないか微妙のところで撫でられる。ふわふわ、手の平が柔らかく撫でていく。
悠も私が頷いたからこれ以上怒ることは出来ないみたいで、不完全燃焼なのか横に近寄ってきた聖二をぶっ叩いていた。
「いっったあああ!?」
「あ~!もやもやしますわああ!まだ怒り足りてないのですのよわたくしは!」
「だからって脇腹をグーで、ぎゃー!」
「逃げるんじゃなくってよ」
「逃げるよね!?明らかにその目は殺害をものともしない目よね!?」
騒がしい。
何でこの人達は長時間静かにしていられないんだ。
ぎゃーぎゃーと煩い部屋で、そのときノックの音が奇跡的に聞こえた。
小さすぎて聞き逃しそうなノックにいち早く反応したのは、逃げ回っている聖二だった。
救世主!とでも思ったのだろう。
「はーい!今開けます!すぐ開けます!」
聖二がドアに手を伸ばすのを悔しげに悠が見ていた。まだ不完全燃焼らしい。どんだけ溜まっていたんだ。
「どちらさまかな~・・・」
開けた瞬間、聖二が硬直した。
不審に思って私も覗き込み、固まった。
ピンクがふわふわ、揺れた。
あらすじ
ドロドロ?違います、これはチュッパが溶けてこんな感じになっただけです
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