Street black cat Ⅲ【完】

第11章:野良黒猫、寝る /二人だけの世界を








***






「なあ、良かったわけ?」

「・・・え?」

「行かせちゃって」





いつもならいる人々がいない、人数の少ない部屋では、その一言だけで室内に響いた。




不良達は好き勝手に遊んだり話をしたりと、こちらには関心を向けない。あえて向けないようにしているのかもしれない。



外は冷たい空気が吹き抜ける寒空。無理矢理という表現のまま連れ出されていった親友を思い出して、カイロを持たせればよかったなと思う。



きっとそうすれば少し戸惑って、また少し迷いながらちいさな声で「悪いな」とお礼を言ってもらえただろう。



そんなときはありがとうって言うんだよとアドバイスを言えば、直ぐさまサッカー選手もびっくりなキックが飛んでくること間違い無しなんだけど。




もう一人の友達がその親友とショッピングだなんてあまり想像出来ないけど、きっと仏頂面をしながらも黙ってついて来るのだろうとは直ぐに想像出来る。




結局、親友はお人よしなんだ。悲しいぐらいに。





「だ、誰のことですか?」




いきなり話し掛けられて戸惑う後輩に、先輩はカラリと歯に飴を当てて興味がなさそうに「んーとさ~」と返してくる。黒い目は雑誌に向けられていて、こちらを見ない。



近くにいるようになって親しみを覚えてきた。だけどやっぱり、『怖い』。






全てを見透かすような、その鋭利な目が。




誰にも見えないように隠す秘密さえも、呆気なく、暴かれそうで。




0
  • しおりをはさむ
  • 2968
  • 2665
/ 332ページ
このページを編集する