この復讐は決して愛と呼ばせない 三章~偏愛の生い立ち~
















初めて人のぬくもりを知ったのは、いつごろだったかな。


俺が小さなころから身体が弱く、あまり外に出られなかった母が、その分だけギュッと抱き締めてくれた……あの温かさ。

たぶん、それが俺にとっての初めての“ぬくもり”だ。







《日本のお偉い政治家》というご立派な肩書きを持った父を追って、慣れない日本に来たはいいけれど、案の定身体を壊し、大きなサイズのベッドに一人眠る母の姿はいつも“孤独”そのものに見えて仕方がなかった。



そして母は常に、父に感謝の気持ちを忘れない人だった。

大きな一軒家を与えられたことも、数ヶ月に一度会いに来ていたことも、家族三人の思い出を作ろうとしていたことも全て、『私達のためなのよ』と言いながら、それはそれはとびきりに綺麗な笑顔を見せて喜んでいた。








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