僕の事情 彼女の事情

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雨の中、僕はワゴン車を走らせた。
助手席には美寧。
一心に未確認生命体の位置を探るために、心を研ぎ澄ませている。
後部座席には4人の護法たちが座している。
皆の緊張が、ひしひしと伝わってくる。
無理もない。
相手は10人以上いると、郷の明王たちは言っていた。
そんな大勢と対峙した経験のある者はいない。
今まで相手は、常に一人だった。
その上、最強の力を持つ羅刹の真琴は、深手を負って戦闘に参加できない。
どうにかなるのか・・・掌に汗をかいて、ハンドルを握りなおした。
「まだですか、美寧さま」
後部座席から声が聞こえた。
美寧は気づかないようだ。
トランス状態に入っているのだろう。
「みぃちゃん、みぃちゃん」
僕は美寧と身体を、軽くゆすった。
美寧は、ぱちりと目を開けた。
「もう少し、もう少し高いところ・・・」
「山道かな?」
僕はナビに目を走らせた。
「うん」
美寧は、うなずいた。
「もう少し先を左、そして山を登って」
「わかった」
僕はハンドルを持つ手に、力をこめた。

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