マイナスの矛盾定義Ⅰ

drop /最後の数日





――何もできないまま、1日が過ぎた。




窓は人が出られるようなサイズじゃないし、エレベーターが止まってるんじゃ動けない。


私はいつも通り何食わぬ顔で秘書としての仕事をし、同時にここから逃げる方法を考えなくてはならなかった。


仕事が終わるとすぐに部屋へ戻り、静かな場所でじっくり考える。


そんなことを繰り返したけれど、解決策は一向に思い浮かばなくて。



そんな時、部屋のドアがノックされた。


「アリス、いますか?」


ドキリと心臓が鳴った。ブラッドさんの声だ。


ブラッドさんは、今私をただの秘書として扱っている。


そんなブラッドさんがわざわざ私の部屋に――…スパイであることを勘付かれた?もしくは、ラスティ君が私のことを報告したとか。


私はおそるおそる部屋のドアを開けた。



見上げると、青色の瞳が私を見下ろしていて。


「入っていいですか」


こちらに聞いているにも関わらず、既に決定しているような言い方。



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