純情ロマンチックヒーロー【完】 

2恋は裏腹なもの /1

 お花屋さんは入り口は開いている様だったけれど配達用の車がなかった。


 私は一旦、家に戻って着替えると簡単な食材を持ってお花屋さんに戻った。店の横に自転車を停める。

マサさんは舞子さんを迎えに行っているのかお店の鍵は閉まっていて、

【本日臨時休業。お急ぎの方はバラ園の方からおまわりください】

と、さっきはなかった紙が貼られていた。

 私もバラ園の方から入って行く。


「いい香り」

綺麗に手入れをされた庭はこの辺りの地主さんの白崎さんという方の所有だ。

このバラ園を一般の人にも観てもらうようになったおかげで、この辺りはちょっとした観光散策スポットとして人が流れるようになった。

バラ園は無料で開放していたけれど、沢山の人が帰りに募金箱に心づけをいれて行ってくれるんだと舞子さんは言っていた。

これだけ丁寧に大切に、綺麗にしているんだから訪れた人もそれがわかるのだろうと思った。

そしてマサさん、舞子さん。コウタさんの人となりながそうさせるんじゃないかと思った。

紺野くんも、きっともっと笑ってくれるようになる……そんな事を思いながらお店の裏の休憩室兼温室のほうから笑う声が聞こえた。

舞子さんがもう帰ってるのだろうか?
と、ドアを開けてそっと声をかける。

「……こんにちは」

「!」

コウタさんが振り向いて笑った。

「おう、ごめんね。ちょっと取り込んでるんだ……ちょっと待ってね」

「はい?」


「? わ! きゃ!」

「お。いいねぇ! シン聞いたか? きゃ! だってよ」

「……」

そういいながら笑ったコウタさんの前にトランクス1枚の紺野くんが座っていた。
私を一瞬見た後、恥かしそうに下を向いた。

0
  • しおりをはさむ
  • 1699
  • 5723
/ 211ページ
このページを編集する